desktopの仮想化

サーバーから始まった仮想化は次の段階のデスクトップへと移行し始めている。デスクトップ仮想化に関しては、サーバー側で仮想化された複数のデスクトップのimageからそれぞれのデスクトップに配信する場合とそれぞれのデスクトップを仮想化して複数のOSを立ち上げる方法がある。Qumranet社はKVM(Kernel-based Virtual Machine)ベースのSolid ICEを発表した。これは前者の場合である。XenはXensource社買収後もオープンソースとして残ると宣言されているが、ここに来てオープンソースKVMに注目が集まっている。
「米ベンチャーKVMベースのデスクトップ仮想化技術を発表」
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/foreign/2007/09/26/11225.html

これだけであれば、わざわざここに書くほどのこともないが、最近以下の記事で「どうしてLinuxはデスクトップでは成功しないか。7つの理由」と記事が発表されたことと絡めて論じたい。この記事扱うネタが刺激的な上に、しかも、その論調が「Linuxはおたく(fanboy)過ぎるから。」という刺激的なものだったので、反論が数多く寄せられた。
http://www.informationweek.com/news/showArticle.jhtml;jsessionid=5LDB2LTULFQFYQSNDLRSKHSCJUNN2JVN?articleID=201807072&pgno=5&queryText=
http://www.informationweek.com/blog/main/archives/2007/09/in_debate_over.html;jsessionid=IP4EWDBPAPUAGQSNDLOSKH0CJUNN2JVN?queryText=alexander+wolfe

ところで、7つの理由とは、1)アプリを移植が高額(distroが多すぎるのも問題)、2)Linuxの支持者はおたくすぎ、3)大体OSで金儲けはできない、4)平均的ユーザーからの支持なし、5)MSは箱からだしたら使える、Linuxは簡単かもしれないけれど、6)どのDistroを使ったら良いかわからない、7)GatesやJobsのようなEvangelistがいない。

現時点では62個のコメントがある。それぞれの点についてはこのコメントに任すとしても、確かに、「おたく過ぎる」とか「Distroが多すぎる」とか、「Linusは地味すぎる」とかいうのは当たっているなと思う。筆者は元々Unixからきているが、言葉は悪いがLinuxは「おたく過ぎる」ので中身が分からないと使いこなせないという感はある。Windowsはともかく知らなくても使える? また「Distroが多すぎる」ということで、時期によってはやりの「Distro」が変わり、現在はUbuntuのようだ。あちこち聞いても調べてもどうしてUbuntuが決定的にそんなに良いのかという答えは返ってこない。2006年のSFでのLinuxWorldでUbuntuのブースでそう聞いたら、ブースの人間がなんでか分からんという回答をして、ひっくりかえったことがある。なんで、FriendsterからMySpaceそして最近Facebookへと人気が移るようなものかと言ったら確実にFlameを受けるだろうけど。

コメントや反論には短いものもあるが、中には結構長いものもある、賛成する意見や中には「何も知らないくせに」とか多くのfanboyからのflameや「Linuxをデスクトップに採用すると、使いこなせる社員が色々なツールを使って社内のサーバー等に不正アクセスをして困るから。」という迷答もあり、なかなか面白かった。上の7つの理由のなかの1つ#5は要はWindowsは既にマシンを買った時点でプリインストールされており、Linuxはインストールが簡単と言われるUbuntuですら結構めんどくさいということのように聞こえる。そうしたら、UbuntuがプリインストールされたDellを使うとか、上のSolid ICEを使えば良いことになるだろう。インストールの手間がないんだから。。。

もし、Linuxがデスクトップで成功しない (==マーケット的に成功しない)ということで、あればデスクトップの仮想化も結局はWindowsか、もしくはMacを支援することになるのかということだろうか。サーバー側での仮想化に関して、データセンターなんかではLinuxは結構がんばっているので、Linuxをサポートすることに意味があるが、デスクトップでは「成功してないLinux」をサポートしても意味がない?XenSourceがMSと提携したのも大部分Windowsをサポートするということだったようで、なんかこう考えてみると、デスクトップ仮想化は一部LinuxMacを支援するけれど、大部分は複数のWindowsのimageをサーバー側で持って、think client方式でそれぞれに提供しますということなんだろうか。なんだか、途端に興味の度合いが下がったような気がする。結局はLinuxのサーバーがデスクトップ仮想化技術を提供して、デスクトップでWindowsを支援しているということか。

蛇足ながら、筆者はUbuntuをインストールしたノートパソコンを持っているが、殆ど使わずもっぱらWindows。理由はWiFiのカードのドラバーをどうしてよいのか分からないこと、IEでしか見れないサイトがあること、そしてMedia Playersでしかアクセスできないものがあること。それと後はたまに使うアプリが必ずしも同じものがLinux上でないことなどである。