RedhatとNovellに対する特許侵害の訴訟

何らかの、訴訟が起こるかもしれないと思っていたが、やはり来た。このタイミングがどうも怪しいと複数の報道がある。

Matt Asayは自分のBlogでhttp://blogs.cnet.com/8301-13505_1-9796697-16.html、どうもこの後ろにはMSがいるのではないかと臭わしている。偶然とすればあまりにも都合の良い偶然? 例えば、

  1. このIP InnovationへMSの特許関係のGMが移籍している。
  2. MSのCEOがRedhatは特許侵害で、払わなければならないと発言
  3. この後直ぐにIP InnovationはRedhatと(多分Novellにも)特許侵害の文書を送りつけ
  4. 両者の反応を待たずに、特許侵害の訴訟で有名な東テキサスの連邦裁判所に訴訟を起す
  5. その日にNovellは免責条項を変更

更に、オープンソースの著名な弁護士であるMark Radcliffeも、この一連の流れを興味深いと自分のBlogで述べている。
http://lawandlifesiliconvalley.blogspot.com/2007/10/patent-troll-fire-first-volley-at-open.html
そしてこれが、オープンソースに対する最初の攻撃でこれからも続くであろうと予想している。ところで、「パテント・トロール(Patent Troll)」とは特許を買い取ってその特許を基に他社に訴訟を起し、ライセンス契約を結び、収益を上げる会社のことである。自分からは何も生産せず、特許を安く買い上げ、恫喝とも言える手口で、ライセンスを強要する手口は望まれる企業の姿とは言えまい。今度の場合RedhatNovellも大会社というよりは中堅なので、取り立てる金額もさほどではないのかと思える。やはりこれはオープンソースに対する挑戦とみるのが正しいであろう。

MSはLinuxが200以上のMSの技術を無断で使用していると再三主張してきたが、今回はMSと深い関係のあるIP Innovationから出てきた。MSが訴訟を起すのは非常に都合が悪いのでIP Innovationにやらせたのだろうか。そもそも、この特許はユーザ・インターフェース(UI)に関するもので当初はXerox Parcで開発され、多くのUIの基礎となっている。特許取得は1991年。どのような過程で、IP Innovationがこの特許を入手したか不明であるが。。。訴訟には倍賞金額は示されておらず、陪審員をいれた裁判を要求している。特許情報は http://www.google.com/patents?id=3tUkAAAAEBAJ&dq=5,072,412

この特許を読めば、今ちまたにある殆どのUIに適用されるのではなかろうか。1つのWindowsの中に複数のWorkspaceを持つことが出来るというものだから。つまり、Apple, MS, Linux/Unixを提供するベンダーすべてに適用される。Appleといえば、今年の4月にAppleが同社から$20Mの請求を受けて、法廷で争わず幾らか払ったとも報じられている。なぜAppleか分からないが、まずAppleに投げてどう対処するか見たという見方も成り立つ。Linux/Unixということであれば、当然X Windowsということになり、RedhatNovellのみならず、IBM, HP, Sunも当然対象になるはずである。

一度に訴訟対象を広げては、リソースの問題もあるのでやらないのかも知れない。また、既にこういった会社には通知をしているのかもしれない。だが、上場企業としてはこのような訴訟関連はSECへの報告に出さなければならないので、まだと見るのが妥当であろう。

ここで興味深いのは、この訴訟がどの程度にLinux潰しなのかということである。MSのCEOの最近の発言の後RedhatはMSの脅しに対して、安心するように発言しているが、このたびの特許侵害に関してはまだ発言していない。
http://cgi.itmedia.co.jp/g/02_0c0a072d11_/enterprise/articles/0710/11/news076.html
IP Innovationはこの訴訟に力と費やすであろうが、Unixにも波及するとなると日本の国産Unixベンダーにも火が飛ぶかも知れず、今後の展開が注目される。