アメリカでのmunicipal wirelessの話

昨日Wireless Communications Allianceの月例ミーティングに参加してきた。昔は筆者の元の雇い主のHPのキャンパスで開かれていたが、今は筆者のオフィースに近いCadenceのキャンパスで開催されている。昨日の出し物は2つで1つ目はMunicipal Wireless Networkの話でまた例によって、例を引くのかと思っているとこれが実に面白かった。2つ目はWireless over Fiberであまり面白くなかったので、1目の話とそれに対する意見を書く。

スピーカーはDandin GroupのDewayne Hendricksで、FCCに対して1999年からwireless networkの構築を進言したきたとの話。Technological Advisory Council としてFCCに色々な意見を提供してきた。メンバーの中には例のVinton Cerfもいる(現在はgoogle。)なかなかの熱血漢で、特に面白かったのは、wirelessのproが集まるこの会合で、「現実の起こっていることはメディアが発表しないので、あんたたちは知らないそれでいいのか。」と問いかけた。Wiress Broadband netの使用・活用に関してはFCCのWireless Broadband Access Task Force(WBATF)によって検討され始め(1994年11月)そしてその結果のレポートは翌年95年の2月に発表されてる。WBATFは94年5月に設立されている。

ここで、スピーカはmunicipalベースの無線ネットワークはぱらぱらと話題になるが、現実には2005年の初めに既に全米で6,000を超えるWISPが存在し、現在ではmunicipalベースの無線ネットワークは地方公共団体である市・郡を合わせるとすでに247箇所で提供されており、Rhode Islandでは州として全体に無線ネットワークを提供するインフラを構築中である。最後にDandinがゼネコンをしているNew Mexico(NM)のSandoval郡の例を引いた。NMは貧しい州で、アメリカインディアンの居住地もある。

municipalベースの無線ネットワークの目的は米国の市の作業のコスト軽減、学校支援、digital divideの克服などどちらかというと底辺を持ち上げることにかかっている。NMの例は未だに貧困と教育レベルの低いアメリカインディアンの居留地にも展開されていることは大きい。仕事もなく、アル中の率も非常に高いアメリカインディアンへの社会復帰という点では特記されるものであろう。居留地は都市から離れているためT1レベルの提供は1本につき$2,500掛かる。これはサンフランシスコであれば1MBpsにつき、わずか$30ということを考えれば、大きな金額で、行政が支えるしかない。スピーカは他の国の例もあげ、日本に関してはu-Japanの2010年までに全国に10Gbpsのネットワークの設置を予定していると警鐘をならし、現実があまり進みすぎているとメディアも報道したがらないと言っていたのには笑えた。例えば、Philadelphiaでは市がmunicipalネットワークを構築すると発表したとたんに、Verizonが反対したとかいうニュースは流れるが良いニュースは流れないようである。

明らかに、ネットアクセスの2流国になったアメリカが果たして、broadbandのネットを展開して世界の流れについて行けるであろうか。日本と違い国土の大きさが問題となる。ただ、まだ底力はあるし、dark fiberも多く眠っているので、それを生かして、wireless over fiberを展開したり、このようなgrass rootの動きが活発になれば意外や意外、Broadbandが行き渡るのであろうか。筆者は未だに3MbpsのDSLだ。6MBpsに自動的になったケーブルからの乗り換えで、ケーブル会社のサポートと価格そしてサービスの安定性を信用できないので、ケーブルに戻るつもりはない。FTTHはVerizonが押していたが、その後この地域のカバレッジがないし、あまり進展があるとは思えない。携帯電話もさして進展があるようにもみえず、しばらくはこのままの状態かと思われる。

Zeekay