WiMaxの行方,日米の報道の違い。

日米のITニュースを読み比べると中々面白い。アメリカのニュースの主なものはその日のうちに翻訳され提供されている。ところが、WiMaxの記事に関しては面白いことがある。

アメリカの論調では、WiMaxに関しての報道は圧倒的な賛成派と懐疑派に分かれる。賛成派はIntel(チップ) Samsung(機器)、Sprint (キャリアー)、そして懐疑派はEricsson、Verizon Wirelessと Qualcommが上げられる。WiMaxいけいけドンドンの論調の記事の多くはABI Research社によるWiMaxサポートの記事によるものが多い。懐疑派はWiMaxではなくLTE (Long Term Evolution)に賭けている。更にここに来てCiscoWiMaxの会社買収の噂が浮上している。

Sprintはアメリカのキャリアー唯一のWiMaxの推進派で2010年までに5500億円を投入すると発表している。ただし、これは先行投資であり、現在収入を得ることのできる携帯事業では収入が減少しており、WiMaxからの収益がまだ1-2年掛かることから、大株主がCEOのForeseeに対して不信任を突きつけ、その結果BoardがCEO解任を決定して、早ければ12月にも新しいCEOが任命されるのではにないかとWall Street Journalは報じている。ちなみに現在アメリカの人口は約3億人と推定され、携帯市場のシェアーはATTが6220万人、Verizonが6070万人そしてSprint がdistant 3rdの5360万人である。この差が埋まらないためSprintは4Gの解としてWiMaxを選択して今日まで推進してきた。今のところ新しいCEOがどのような方針を展開するかは分からないが、少なくとも今までのようにWiMAxを推進していくことはなかろうと思われる。WiMaxの展開にはキャリアからのプッシュが不可欠であり、Sprintの脱落は致命的ではなかろうか。

CiscoによるWiMaxの会社買収の噂は出ては消えているが、最近再現した。買収のターゲットとされている一番人気はWiMaxの会社の中でトップを走るAlvarion社である。しかし、その他数社も可能性があると言われていて、今回は数週間で決着がつくといわれている。Sprintが方向を転換して、WiMaxから手を引けばWiMaxの立ち上がりが遅れるだけでなく、アメリカでの展開に致命的な影響を与えるかもしれない。また、Sprintが方針を変えてもCiscoは買収を敢行するのかどうか疑わしい。そのため買収の決定も12月以降に延長されるのではないだろうか。

さて目を日本市場に向けると、日本でのWiMaxの記事は既に、WiMaxが勝ち組になったような報道で、むしろどこの会社がどこと組んでどうするという記事ばかりで、ほとんどLTEなどの競合や本当にモバイル版が実用に耐えるのか等の記事を見かけない。それとも筆者が見落としていることや日本特有な事情で既にWiMaxで決まりなんだろうか。